アトピー性皮膚炎
■アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎はさまざまな要因がからんで起こる慢性の皮膚病です。最近では、慢性の皮膚炎が、全身に与える悪影響を与えるという事も徐々にわかってきております。(色々なアレルギーになりやすい、心血管系の病気になりやすい等の可能性が指摘されています。)昔は、”皮膚がわるいだけで、全身には問題ない”と、言われていたようですが、それは誤りです。お肌を良い状態に保つことは、健康においても大変重要なことなのです。
■治療方針
1、速やかに皮膚炎を抑える。
外用薬は躊躇せずに十分使用してください。
掻かないように抗アレルギー薬も併用します。
時にはステロイド内服、重症例にはナローバンド併用し、半年以上の治療にも関わらず寛解導入できない場合はデュピクセント(バイオ治療)を導入します。
2、湿疹の無い期間を少しでも長く。
落ち着いたら保湿剤中心にスキンケアを継続していただきます。
かゆみが少しでも出たら、すぐに部分的に湿疹の外用薬を使います。
ただ、うまくいかないことも残念ながら多いです。
そのような場合は、改善した後も、週に1,2回の頻度で湿疹の外用薬を、皮膚炎がなくても継続します。この頻度なら、最強の外用薬以外であれば体への影響が出たという報告はありません。慢性に続いた湿疹により、一見キレイになっても、皮膚の表層近くまで神経が伸びており、かゆみに非常に敏感な状態が続きます。敏感な状態が元に戻るのに、2.3か月かかるのです(炎症を記憶している免疫細胞は3年ぐらい居座るかもと言われてます)。ゆえに、キレイになった後、その状態を維持することが大事なのです。
3、検査や、ほかの治療は?
主に重症の方や難治の方へは、採血にて現在の病勢の評価を行います。
パッチテスト、採血にて悪化因子の検査を行っています。
ナローバンドUVB治療も行っております。難治、重症例は、デュピクセント導入。
デュピクセントはアトピー性皮膚炎を悪化させる因子をピンポイントで抑制する治療で、注射剤ですが、副作用も重いものは少なく、非常に高い効果のある薬剤です。ほぼすべての患者さんでよく効きました。唯一効かなかった方は、投与間隔を守れていない方でした。上でもお話しましたが、炎症を抑え、いい状態を長期維持する、これが大事です。かゆくなったら打つ、ひどくなったら打つというのはいい方法ではありません。
当院ではこれまで30名ほどの患者さんに導入してきました。これは開業医では県内で2番目に多い人数です。一番は亀山市の皮膚科のうちクリニック、野内先生です。皮膚科医としてもプライベートも非常に精力的に活動されており個人的にとても尊敬している先生です。私もデュピクセント普及のための活動としして2022年末に講演いたしました。2023年中ごろにも講演予定です。お近くのクリニックで、必要な方にすぐデュピクセント治療ができるようになると良いなと思い活動しています。
高額なお薬ですので、高額療養費制度を利用することになる方が多いです。実際の具体的な月々の負担額については各自保険組合等へお問い合わせいただきたいですが、3か月に一度の処方で年収370万円~770万円ですと月平均で27000円ほどとなります。診察時にスタッフが説明しますので、電話でのお問い合わせはご遠慮ください。さらに、付加給付制度のある企業にお勤めの場合や、公務員教職員で互助会などの補助があるとかなり安くなります。
4、眼の病気に注意
アトピー性皮膚炎は、目のトラブルも起こしやすいですので、眼科とも連携して診療しています。円錐角膜、白内障、緑内障、網膜剥離など。
特にごしごし掻いていて皮膚が厚くなっているような場合は、ぜひ眼科検診を受けてください。また、外用剤が長くなると、まれに敏感な方は目への影響も出ることがあり検診をお勧めしております。かかりつけが無い場合は、私の信頼できる先輩である、さの眼科の佐野先生をご紹介いたします。
5、毎日のケア
洗いすぎに注意!
キレイしようという意識が強すぎて、ナイロンタオルでごしごし洗いすぎている方がおります。また寒風摩擦や、あかすりなどもオススメしません。弱酸性の洗浄剤をお使いください。良く泡立てて、手を使い、やさしくなでる程度で十分です。
お風呂上りには保湿をしましょう。朝晩が理想ですが、難しい方は夜だけでOKですのでしっかり時間をとり保湿ケアしましょう。
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